142 Is it not true that when a hypnotist wishes to put a subject under his control he suggests something which he asks him to hold steadily in his mind? If the subject does this he becomes the victim of the hypnotist's will and is forced to obey whatever thought is presented to him. The hypnotist can make his subject believe anything that he tells him. He can cause the individual to eat onions thinking that they are apples and he will not discern the difference, which proves that the subject has lost his reasoning as well as his will power.
142 催眠術者が被術者を自分の支配下に置こうとする際、術者は被術者に何かを自分の心に常に保持しておくようほのめかすことは、本当に行われていることではないでしょうか。もし被術者がこのようなことをするなら、被術者は術者の意志の餌食になり、自分に示されるどのような想念にも従わざるを得ないことになります。催眠術者は自分の被術者を自分が語るどのようなことをも信じさせることが出来るようになります。術者はその者にタマネギを食べさせ、それらがリンゴであると思わせることも出来ますし、その者が違いを見分けることはなく、そのことは、自分の意志力同様、推論の力も失っていることを示しています。




【解説】
 宗教的儀式その他で問題となるのは信者が指導者に盲目的に従うあまり、自ら考え思考して何かをつかむのではなく、指導者の支配に完全に委ねてしまうことです。その極端な例は本文にあるような催眠術の場合と言えるでしょう。
 実はこのテーマは大変難しい内容だとも言えるのです。即ち、一方では”素直になれ”と説いている訳ですが、もう一方では自らの判断を相手に委ねてはダメだとしている訳です。そのどちらの極端においても問題があるということかを思われます。即ち、指導者の言動であってもそれが私自身にとって適切な内容か、よく吟味して消化せよということかと思います。もちろん相手の教示を受け止めることが第一なのですが、その後はその何処が優れているのかを自身で十分に吟味消化して良いものであれば努めて身に付けるということでしょう。