370 The difference between pure reasoning and perverted reasoning is the difference between definition and discrimination. We may say that a rose is red and is fragrant; and that a calla lily is white and possesses little fragrance. Our reasoning tells us they are two distinct objects; and defines their character by an act of recognition. But perverted reasoning could say that the lily is a mistake of creation, because it should have been red like the rose; or that the rose is malformed because it is cut up in little pieces called petals.
370 純粋な推論と歪んだ推論との違いは定義と差別の間の違いです。私達はバラというものは赤く、よい香りのするものと言いますが、カラー(訳注:植物名、オランダカイウ、日本ではカラーもしくはカラーリリーと呼ばれる。漏斗状の白い仏炎苞を持つ観葉植物)は白く、香りは無いと言うでしょう。私達の推論はそれらは二つ別個のものであることを私達に伝え、認識の行為によってそれらの特徴を定義します。しかし、歪んだ推論は、そのユリ(訳注:この場合、前述のカラーをユリと認識している)はバラのように赤くなければならないのになっておらず、或いはそのバラ(訳注:この場合は前出のカラーをバラと認識している)は花弁と呼ばれる小片に切れ込まれている為、誤って創造されたものだと言うかも知れません。



【解説】
 観察したありのままを受け入れ、良否・美醜の差別なく「定義define」することと、その創造物が他に比べて欠点を持ち、劣るものとする優劣の差別を加える「perverted reasoning歪んだ推論」とを、著者は明確に区別し、後者の姿勢の誤りを指摘しています。
 このことは何ものであれ、創造物には各々美しさと本来の役割を備えており、決して私達の勝手な差別を下してはならないことを意味しています。肉食獣が獲物を捕獲することは私達の目には残酷に見えますが、私達自身も魚を取ったり、肉を食している訳で、社会の仕組みとして、その作業を他の者が分担して担っているに過ぎません。
 「好き嫌い」や「優劣」の感情の源は私達の心の姿勢にある訳で、私達はこれから次々にやって来る想念・印象に対して、そうした差別を向けることなく、ただひたすら、ありのままを受け入れてその中に意義や役割を見出すよう努める必要があります。「汝、裁くな」とは、実に簡潔で的を得た言葉です。