277 The wise man will learn to pay attention to all thoughts passing through his brain. He will heed not only those pertaining to self, but also those thoughts taking place outside his personal field of comprehension. For only in this way will he grow in knowledge and receptivity. It is indifference and lack of interest which causes man to lose the greatest jewels of wisdom . . . lose them through apathy when he actually holds them within his grasp.
277 賢明な者は自分の頭脳を通過する全ての想念に注意を払うことを学ぶでしょう。彼は自身に属するもののみでなく、自分自身の理解の分野以外で起る想念についても心に留めることでしょう。この方法を通じてのみ、知識や感受性において成長するからです。人に智恵の最大の宝石を失わせるのは無頓着と関心の薄さであり、実際、手に握っているにも拘わらず無感動のまま無くしてしまうのです。


【解説】
 もちろん人間が成長する上で、このような外部から来る印象から学ぶことが全てではありません。私達のこれまでの生涯を振り返っても、学校における系統的な知識の学習や家庭その他、身の周りの人々や書物、放送番組等、様々な経路を通じて学習し、今日に至っています。
 これらの各科目に向き合う態度が重要なことは言うまでもありません。とりわけ、理解するということの中には、自らの意識をその場面に移入させる中で、半ば自分の体験として理解し、記憶する過程があるような気がします。そういう意味ではこれらも実際には印象を取扱っているのと大差はないのかも知れません。
 とかく学生の時代は表面的な内容を記憶することに重点が置かれがちですが、大人になってからは(特段の試験がある訳ではないので)、様々な事物について自分の意識的な触覚を動員して、その本質を感じ取ることを行うべきでしょう。
 例え偶然、飛び込んで来た印象を手掛かりに、新しい世界が拡がる様子は、今日ではインターネットの検索作業を通じて出会ったサイトから自分が長年求めていた人物やテーマに巡り会うことと似ています。わずかな印象を大切に取扱うことが予想もしない宝物に出会う可能性を秘めているということでしょう。