276 If he gives these thoughts any recognition, he generally releases them immediately as mere figments of his imagination. But, after all, what is imagination? Is it not the faculty to objectify, or imagine, that which is invisible to the senses? As one Eastern philosopher aptly phrased it, "Imagination is the bridge between the known and the unknown."
276 もしその者がこれらの想念に何らかの認知を与えたとしても、その者はそれらを単なる自分の想像の産物だとして通常は手放してしまいます。しかし、結局のところ想像とは何でしょうか。それは既存の諸感覚には見えないものを具体化し、考えてみる能力ではないでしょうか。あるアジアの哲学者はこれをうまく表現しました。「想像とは既知と未知との間の橋である。」


【解説】
 このimagination(想像)は、ある時には自らの心(エゴ)が、その創造力をたくましくして、自分の望むような世界を造り出すべく、勝手にイメージを作り出す場合と、本項のように宇宙その他の外部からの印象を感受した際に感じる場合とがあり、取扱いは難しいところです。
 しかし、一方でエゴの統制が出来ていれば感受する印象は外部から来ているものということが出来る訳で、私達は日々の印象に誠実に対応することが重要となります。従来からの延長上の内容でなく、例え奇異に思ったとしても注意深くその意味する所を理解しようとすることです。先日も実家の庭の手入れをし終わった時、「(古い家なので)もし地震があったらどうするか」という考えが湧き起り、その時は「やはり外に出て逃げた方が良いだろうか」などと思っておりました。すると5分もしない内に、電柱が揺れ出し、外に居た私達は地震であることに気付きました。恐らくは地震発生間近の大地からの何らかの異常を知らせるメッセージが放出されていたのかと改めて思った次第です。
 本項では想像をより積極的に捉えています。つまり、私達は現実に未だ存在しないものを、心の中でイメージとして先行して作り上げることが出来ます。やって来る未だ現象化していない印象の塊を受け止めて、その意味する所を学び取って具体的な形にして行く作業です。これは芸術家の制作活動に類似しています。作家の心の中で構築されたイメージを具体化したのが作品であり、重要なのはその作家に授けられた初期の印象、インスピレーションです。その感受した状況を再現出来れば、作家は再び同様の作品をものにすることが出来るからです。