039 I then turned to a closer observation of the birds, insects and animals. In all three I found the same marvels of engineering. It is interesting to note that much of our present architectural knowledge has been acquired from studying the principles employed by nature. In fact, man thinks so highly of the engineering ability of the industrious beaver, that he now parachutes them in pairs into inaccessible territory so they will build dams to help control the disastrous floods which rush down to the 1ower valleys each spring. In this way, the little animals render man and nature an invaluable service; for where their dams dot the mountain streams, floods and soil erosion are cut to a minimum.
039 私は次に鳥や昆虫、そして動物達を綿密に観察することにしました。その全てで私は植物の場合と同じ工学の驚異を見い出したのです。私達の現代の建築の知識が自然によって採用された諸原理を研究することから得られたことに気付くのは興味深いことです。事実、人は勤勉なビーバーの持つ工学上の力量を高く評価していますので、つがいのビーバーを未踏の地域に落下傘降下させ、彼らが毎年春に低地の谷間に破壊的な洪水を引き起こすのを阻止する為に役立つダムを作らせています。このように、小さな動物達は人間と自然に計り知れない奉仕を尽くしてくれているのです。何故なら、ビーバーのダムは山麓の水の流れを点在させ、洪水や土壌の侵食を最小限に削減するからです。


【解説】
 参考までに調べた結果、日本でもビーバーの話しは広く理科教材として普及しているようです。「生物と神秘の科学技術 ビーバーから学ぶ/水害の防止」と題するDVD(26分間)が学習教材として販売されています。「ビーバーの驚くべき技術と自然環境の中でのビーバーダムや運河の影響を学びます」と解説コメントが付いていました。各地の図書館にも収蔵されている例もありますので、機会があれば問い合わせて見て下さい。
 一方、本文後半にアダムスキー氏が述べている建築技術に関する記述ですが、その趣旨に沿う論文として、以下に建築家三上祐三氏(シドニーのオペラハウスの設計に携わった建築家としても有名)の論文を紹介しましょう。題名は「自然から学ぶ構造形態」、建築雑誌のvol.106, No.1315,1991年,7月号に掲載されています。
 その記事の中から以下に、ポイントとなる部分を紹介します。
 「美しいスペース、エンクロージャー、そして安全なシェルターの見本を自然界に求めるとすれば、まず思いつくのはシェル、貝殻だ。」「完成した建物が示している高度な秩序の美しさには、たしかに自然界に特有の有機的な合理性にもとづく美しさと共通した要素が認められる。バックミンスター・フラーのドームもまたその一例であろう。」「シドニーオペラハウスは多くの人に白く輝く貝殻の群れを連想させる。」「ネルヴィの設計したローマの小スポーツパレスの天上伏のパターンと、ヒマワリの花の中心の筒状花の半分のパターンも、おどろくほど似ている。」
 「だが、もっと自由な態度で、オープン・マインドで自然界の造形を観察するとき、そこには無限の、無尽蔵のデザインのためのヒントを見い出すことができるのではないだろうか。換言すれば、設計者が自然から学ぶということは、決して狭い技術のレベルではなく、もっと広くそして自由なデザイン、コンセプトのレベルで行われるべきで、そこにはたとえ論理の飛躍や、技術的な不整合があってもよい、自然に触発されることこそ大切だと思う。」
 「『自然から学ぶ』の手始めとして、まず自分自身の骨格をよく観察してみたら、というのが筆者の提案である。そうすればあるいは、設計者としての神様の苦労がわかって思わずニヤリとしたり、意外な親近感を覚えたりするかも知れない」
 三上氏は、おそらくアダムスキーをご存知ではないと思いますが、創造的な仕事をされる多くの方々は、共通して、本書で述べられているような自然から学ぶ姿勢を貫いているように思います。